日本語教師業界唯一の国家資格である「公認日本語教師(仮)」。
日本語教師や日本語教師を目指す人々にとって、日本語教師の国家資格の制定は喜ばしいことです。なぜならこれまで日本語教師には民間資格しかなく、日本語教師になる方法、日本語教育能力の有無を判断する基準が非常に曖昧だったからです。
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公認日本語教師の国家資格が正式にスタートすれば、日本語教師になりたい人、日本語教師を採用したい人、両者にとってメリットとなること間違いなしです。
しかし、公認日本語教師についてよく知らないという方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、「公認日本語教師(仮)」の概要とその経過措置について詳しく解説していきます。
目次
「公認日本語教師(仮)」とは?
「公認日本語教師」とは、日本語教師唯一の国家資格の名称(仮称)です。現在資格の創設に向けて、議論が進んでいます。
学校の先生は教員免許、保育士の先生は保育士免許のように、教育に携わるほとんどの方は、何らかの形で免許を取得しています。
公認日本語教師の資格は、日本語教師業界における教員免許のような役割を果たすことになるでしょう。
公認日本語教師資格創設の背景
今回の「公認日本語教師」の創設には、大きく2つの背景があります。
日本語学習者の増加
1つ目は「日本語学習者の増加」です。
日本語学習者の数は年々増加しており、国際交流基金の調査によると、2018年時点で世界142の国と地域で3,846,773人に日本語教育が行われていることが分かっています。
独学者も含めると、より多くの人が日本語を学んでいます。
日本語学習者の増加に伴い、より大勢の日本語教師が必要です。日本語教師になるためのわかりやすい指標があった方が、日本語教師を目指す人が増えるという背景から、公認日本語教師の資格が創設されることとなりました。
日本語学習者が増加している原因は複数あります。
- 外国人観光客の増加
- 外国人労働者の増加
- 日本文化に興味を持つ人(特にアニメ・漫画・ゲーム経由)の増加
以上3点が主な原因です。
新型コロナウイルスの感染拡大によって国を跨いでの渡航が制限される以前、外国人観光客の数は2000万人を超えていました。
また外国人労働者の数も技能実習生を中心に急増していましたよね。
日本は少子高齢化社会です。今後ますます人材不足は加速し、外国人労働者の需要は増すと考えられます。
日本語教師の質の保証
2点目は「日本語教師の質の保証」です。
これまでは「日本語教師になるにはこの資格が必要」という明確な基準がありませんでした。
その結果、各日本語教室によって採用の基準もバラバラでした。
ほとんどの日本語学校では、
- 大学で日本語教育専攻
- 日本語教育能力検定試験の合格
- 420時間の日本語教師養成講座修了
- 日本語教師としての実務経験
これら4つのうちのいずれかが必要とされていました。しかし日本語学校によってはこれらが無くとも日本語教師になれる場合もあり、基準はバラバラでした。
日本語教師の国家資格化の背景には、「日本語教師の質を確保し国として保証する」という意味合いもあります。
公認日本語教師には経過措置の期間が設けられる
公認日本語教師の資格はいつから施行されるか決まっていません。また施行されたらすぐに公認日本語教師の資格が必要になるわけではありません。
しばらくの期間は経過措置が取られる予定なので、施行されたときにすでに日本語教育に必要な知識・資格(日本語教師養成講座修了や大学等での日本語教育学専攻)を有している場合、これまでの要件を満たしていれば日本語教師になれます。
まとめ
ついに日本語教師にも国家資格が創設されます。日本語教師の人数も需要も、これからますます伸びていくことでしょう。