去る2020年2月14日、世間ではバレンタインデーや新型コロナウイルスが話題になっていましたが、日本語教師界では「公認日本語教師」という日本語教師の国家資格制度の大枠が決まっていました!
今回はその国家資格のメリットや条件、取り方などのポイントを確認していこうと思います!
詳細は文化庁の文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の第99回議事録に載っていますので、気力がある方はぜひそちらもお読みください!
目次
国家資格になるメリット
文化庁が期待するメリット
大きく2つあります。
- 日本語教師の資質・能力のばらつきを抑える。
- 国家資格として箔をつけ、人員を増やす。
日本語教育業界では慢性的な人材不足が問題となっています。つまり、日本語を勉強したい人に対して、十分に教える能力・経験を持っている人材が少ないのです。
では、どうすればよいか?ということで、能力の基準を定め、日本語教員の質の向上と魅力を増やそう!ということになったのでしょう。
私たちが期待するメリット
こちらは3つ挙げてみます。
- 国家資格を得られる
- 日本語教師という仕事の社会的な位置づけが定まる
- 昇給につながる可能性がある
国家資格というと、素直にかっこいいですよね。
今まで、誰かに「日本語教師をやっています」と話すと、「へぇ、そんな資格があるんだ~」などと驚かれ、「いえ、国家資格ではないんですよ」というやり取りを何度したことか…。
それが、「国家資格を取りました!」と胸を張って言えることは、少し肩の荷が下りたような気がします。
そして、やっぱり、お給料は期待してしまいますね。
これは現時点で誰も何も言ってないのでわからないことです!
しかしながら、国家資格にすることで、働く環境がより整っていくことが予想されます。
資格の条件
公認日本語教師になるには3つの条件があります。
- 日本語教育能力を判定する試験
- 教育実習の履修
- 大学卒業(学士の資格)
年齢や国籍、母語は関係ありません。
日本語教育能力を判定する試験の合格
「せっかく大学で日本語を主専攻で卒業したのに、また試験…」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、原則としてはこの試験が必須となりそうです。
一部または全部免除については現在検討中とのことです。
教育実習
日本語が母語ではない人に、5人以上のクラス形式で45分以上の指導を行うことが求められています。
実習現場は文化庁に届出済みの機関・施設のみとなります。日本語教師の実務経験は、残念ながらこの実習にはカウントされません。
オンラインでの実習については、将来的に実施を検討しているそうです。
4年制大学卒業の学士
日本語教師に求められる資質として、幅広い教養、問題解決能力、国際的な活躍であること、留学生たちの主なニーズが大学進学であること、という観点から盛り込まれたようです。
現行のルールでは、学士がなくとも、「日本語教育能力検定試験」(公益財団法人 日本国際教育支援協会)に合格していれば、日本語学校などの法務省告示日本語教育機関で日本語教師として働くことができます。
しかし国家資格化により学士が必須となれば、「大学卒業資格が必要ではないから、日本語教師を目指していた」という方にとっては少し残念なニュースですね。
試験について
全国各地で実施する予定です。受験回数も1年に複数回実施となりそうな印象ですので、チャンスがたくさんあるかもしれません。
出題内容は検討中ですが、文化審議会国語分科会日本語教育小委員会の第72回議事録をみると、今ある日本語教育能力検定試験をしっかりお勉強しておけば、問題はなさそうです。
資格取得後
他の教員資格と同様、10年間の有効期限が設定される予定です。10年経つ前には更新講習を受ける必要があります。通信でも講習を受けられるようにしてくれるようですが、こちらも詳細未定です。
今から国家資格を目指すには
最新情報を取り入れながら、日本語教師になるための勉強を進めておくとよいでしょう。試験内容も日本語教育能力検定試験を参考にできそうですから、正式決定する前でも勉強は始めることができます。
また、現時点で日本語教師に関する資格を一つも持っていない方は、「公認日本語教師」が制定・施行される以前に日本語教師資格を身に付けておくことをお勧めいたします。一定期間以上の実務経験を積んでおくと経過措置の対象となる模様です。
そして、大学卒業資格というのがネックになる方も多いかと思います。
今は学士の資格を取る方法も様々です。一般的な全日制の大学に通うだけではなく、最近では通信制大学も幅広い世代に人気です。その他、大学中退や短大・高専卒の方であれば、学位授与機構を利用する、などがあります。時間と労力はかかりますが、学士を持っていて社会的に損になることはありません。今のうちに、その情報収集を始めるのもいいかもしれませんね。
まとめ
大枠が決まったとはいえ、実際にはまだまだ検討材料が多く、国家資格としてスタートするのはもう少し先のようです。しかし、物事が変わっていくタイミングというのはドキドキしますし、その波に乗れるとカッコイイですよね!
文化庁のホームページでは会議がある度に都度議事録を上げています。少し長い議事録ですが、自身の日本語能力向上のためにも、正しい知識を取り入れることをお勧めいたします。